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  泣かないと誓った体育館裏



笠松センパイに連れてきてもらったのは、体育館裏の水道がある所だった。
そこに黄色くんはいた。水を滴らせながら。…いつかの私を思い出すなー。

隣にいた笠松センパイは黄色くんを見たとたん、跳び蹴りをかました。わー綺麗に入った…


「っのボケ!!何濡れたまんま突っ立ってんだよっ!!」

「いでっ!?」

「しかも誠凜の見送りもしねーで!」

「いてっスイマッセン!」


ぽけーっと見ていたら、黄色くんはこっちに気づいた。


「あ!ゆあっち…来てたんスね…」

『黄色くんが来いっていったんじゃん』

「いやーゆあっち、かなり気まぐれな所あるんで、来ないんじゃないかなーって思ってたんで、ちょっとビックリしただけっスよ」


ニコニコ笑って目の前に来た黄色くん。
見上げながら、ああ泣いてたんだ…と気づいてしまった。

黄色くんの背後では笠松センパイがそんな黄色くんを静かに見ていた。


『ん…』

「どーしたんスか?」


精一杯、黄色くんの顔に手を伸ばすも届く訳もなく黄色くんが目線を合わせてくれた。
そしてそれを良いことに、わたしは両手で黄色くんの両目を隠した。


「???」


されるがままになってくれる黄色くんに感謝しつつ、わたしは口を開いた。


『黄色くんに涙は似合わない。だから泣くのは今日限りで、これからは泣かなくてすむように、後悔しないですむように…そんな気持ちで練習すれば問題ない、きっと。黄色くんは才能とバスケへの気持ちがあるんだから』


ゆっくり目隠しを解けば、黄色くんはガバリと抱きついてきた。


「ゆあっちー!!大好きっス!もう泣かないって誓うっスよ、絶対!」


肩口から聞こえた黄色くんの声は少し震えているような気がしたけど、こういうのは敢えて無視する。

黄色の髪を優しくなでる。


『それに…黄色くんはセンパイにも恵まれてるしね』


調度、目が合った笠松センパイに笑いかけると、笠松センパイは顔を真っ赤にして驚いていた。



 

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