シャツのボタンを何個かあけて、
唇に指を這わせながら一言。

「ねぇギル、キスしてよ」

ぱちぱちと数回瞬きをしてからようやく今どんな状態なのかを理解したのか徐々に顔を真っ赤にさせて声にならない声を発しているギル。(すんごい面白い)
そりゃあビックリするよな。
いきなり目が覚めたらオレがギルに馬乗りしてるんだから。

「な、何をしてるんだオズ!!」

「うーん…夜這い?」

「よばっ…!?」

ギルは顔を真っ赤にさせて鼻を押さえながらオレを自分の上から退かそうとする。(なんで鼻を押さえるんだよ)

でもオレは意地でも退かない。

だってさ恋人同士になって結構経つのに未だにキスもしてないなんて可笑しくない?
ここだけの話最近ようやく手が繋げるようになった。

お前からしてくれないならオレからって思ったんだよね。(オレ偉い)(自分から行動するなんて)

「なんでキスしてくれないの?オレのこと嫌い?」

「嫌いじゃない!だ、大好きだ!」

「じゃあなんで?」

こう言うとぐっ言葉を詰まらせる。
なんだよ、何か言えよな
。もしかしてオレ…魅力ない?


「我慢…してたんだ」

無言を貫き通していたギルがぽつりと話し始めた

「我慢?なんで?」

「キスなんかしたら、とまらなくなりそうで…」

"だからキス…できなかった"と最後は小さく呟いて。
…何情けない顔してるんだよ。
ここら辺がヘタレなんだよなギルは。

「別にいいよ」

「なっ…!?」

「キスしてとまりそうになかったらそのまま続きしてもいいのに」

「い、イヤじゃないのか!?」

「全然、むしろすっごく嬉しいよ?」


ギルになら何されたっていい。
だってギルのこと大好きだもん。

だから、ねぇ、


「キスしてよギル」

ギルの手に自分の手を重ねながら目を瞑ってギルを待つ。

ギルがぎゅっと手を握り返してくれて。(少し汗ばんでる)
待っている間、心臓がとてもうるさかった。


「オズ」

「ん…」


柔らかいモノが唇に触れてそしたら強く強く抱きしめられて、


初めての恋人同士のキスはほんの少しだけ苦かった。





キスって苦いもんなんだな
(タバコの味か)




(2010.1.26)



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