「どおシルバー」
「似合っている」
「だろ?」
やっぱ男前は何を着ても似合うんだなー、と鏡の前でポーズを決めてみた。
小さなリボンが両サイドにあしらわれているヘッドドレス。
大きなリボンが後ろに付いているフリフリのエプロン。
下着が見えそうなくらい短いスカート――ちなみに下着も女物――に黒のニーソックス。
俗にいうメイド服と呼ばれるモノを身に纏っている俺、ゴールドですが決して女装癖があるわけではありません。
何で俺がメイド服なんかを着ているのか。
理由は昨日のレッド先輩との会話にある。
一ヶ月ぶりに再会したレッド先輩と久しぶりに会ったんだからバトルでもって話になりシロガネ山でバトル開始。
勝敗はもちろん俺の完敗だった。
「なんで勝てねぇんだろ…」
俺もだいぶ強くなったはずなのに
今日のバトルのどこが悪かったのか考えていると先ほどまでピカチュウたちの手当てをしていたレッド先輩が目の前にやってきて"飲めよ"と言ってサイコソーダを差し出してくれた。
俺は差し出されたそれを受け取りぐいっと飲み干し、からからに乾いた喉を潤した。
そこから今までどんなことがあったのか世間話をしている最中レッド先輩がいきなりこんなことを聞き出してきたんだ。
「あっそうだ、ゴールドはメイド服とか、着たことあるか?」
「…あるわけないでしょ。レッド先輩はあるんですか?」
この世界にメイド服を着る男なんているのか?なんて思いながら質問してみたら返ってきた返事に唖然とした。
「あるよ、てか昨日着た」
「っマ、ジですか…!」
「マジ」
レッド先輩によれば昨日グリーン先輩の土下座までされて頼みこまれメイド服を着たらしい。
いくら恋人の頼みでもメイド服なんて普通着るか?(俺は着ない)(まずそんなことを言ってきた恋人をブン殴る)
「着てみたらさ、これがすっげぇ似合ってさー」
似合いすぎてグリーンなんか俺見た瞬間、鼻血出して倒れたぐらいだもん
そう言ってくすくす笑うレッド先輩。
俺はへーそうですか、と聞き流していたらレッド先輩が聞き捨てならない言葉を口にした。
「ま、ゴールドが着たって似合わないだろうな」
(あっムカっときた)
レッド先輩は悪気があって言ったわけじゃないだろうけど俺にはその言葉が頭にきてしまった。
(俺に似合わない服なんてねぇよっ!)
そして今着ているメイド服に至るわけだ。
ちなみにこのメイド服はシルバーから借りた。(なんでコイツがメイド服なんて持ってるのかはあえて聞かなかった)
「レッド先輩なんかより100倍似合ってるよな俺」
この姿をレッド先輩に見せつけたいぐらいだ。
そして悔しがる姿をあざ笑ってやる。
俺がいろいろ考えているとふいに後ろからぎゅっとシルバーに抱きしめられた。
「可愛いゴールド」
もぞもぞと俺の身体をまさぐる手と普段出さないような甘えるような声。
いつもと違う格好にコイツも興奮してるのかな、とか思ったりして。
俺もなんかすっごく興奮してる。
「シルバー…」
俺も甘えたような声をだしてシルバーの唇に噛みつくようにキスを仕掛けた。
ご奉仕します、ご主人さま!
(今日はご奉仕プレイでオッケー?)
(2010.6.30)