ゴールドが風邪をひいたらしい。
なぜ俺がそれを知っているのかといえば俺のもとにゴールドのポケモン達がやってきて身振り手振りで状況を伝えてくれたからだ。
どうやらおばさんもいないらしく俺に助けを求めてきたらしい。(状況を把握できた俺は誉められるべきだ)
ゴールドが苦しんでいるんだすぐにゴールドのもとへ向かった。
…がここで問題が一つ発生。
俺とゴールドは只今絶賛喧嘩中だということ。
喧嘩なんかほぼ毎日のようにしているが今回は凄まじかった。(まぁアイツの一方的だが)
喧嘩中は絶対俺と口を聞かないゴールド。
そんな中で看病などできるのか…?
そんなことを考えていたらいつの間にかゴールドの家に到着していた。
ヤミカラスをボールに戻し家の中へと入っていく。
ゴールドの家なんて何度も来ているから何処に何があるかすぐにわかる。
俺はとりあえずゴールドのお気に入りのマグカップを取り出しそこに温かいモーモーミルクを注ぎ戸棚にある風邪薬を持ちゴールドの部屋へと向かった。
「ゴールド、入るぞ」
一応ちゃんとノックをして問いかけてみたが返事はないので勝手に入ることにした。
「ゴールド」
持ってきたマグカップと薬を机の上に置きゴールドが横たわっているベッドに近づく
ゴールドは俺の姿を見て少し驚いた表情をしたがすぐに布団の中に潜りこんでしまった。
「お前朝から何も食ってないんだってな。それに薬も飲まずで」
「……」
「何か作ってやろうか?」
「……」
何度か問いかけてはみるが返事をする気配がまったくない。
意地でも俺と話したくないらしい。
そんなゴールドに小さくため息をついた。
「…俺と喋るのが嫌なら口聞かなくていいからちゃんと薬ぐらい飲め」
「……」
きっと俺がいたら薬も飲まないだろう。(コイツは変なとこで意地っ張りだからな)
「…帰るからな」
こんなゴールドを一人にさせるのは気が引けるが仕方ない。
ドアへ向かって歩き出そうとしたら"くいっ"っと服の袖を引っ張られた。
「ゴールド?」
「…帰るなよ……」
"側にいろ"
とても小さい声で、でもしっかりと俺の耳に届いていて。
(可愛いやつ)
布団から見えている耳が真っ赤なのは熱のせいかそれとも、
熱のせいにしてしまえ
(2010.1.23)