「はいどーぞ」

ヒビキの部屋でまったりしていたらヒビキが突然机に置いていた箱を手に持ってオレに突き出してきた。
その顔は少し赤くなっている。

「…なんだ?」

「今日ねバレンタインなんだよ」

「バレン…タイン?」

なんだそれ
そう言うとヒビキは少し困った表情。

「えっと…バレンタインっていうのは…好きな人にチョコをあげる日なんだよ」

だから受け取ってください

そう言うと少し赤かった顔がさらに赤くなり俯いてしまった。
バカ、そんな反応するからオレまで顔が赤くなってきたじゃねぇか。

「…ありがとう」

お礼を述べて、突き出された箱を受け取り"あけてもいいか?"と問いかければ、

「どーぞ」

と言ってヒビキはへへっと照れ笑い。
そんなヒビキを見て可愛いなんて思いながらラッピングを剥がしていく。
そして箱の蓋を開けてみたら、

「あっ!」

「割れてるな…」

所々ひび割れているハート型だったチョコ。

「ご、ごめんねソウル…」

「いや…食べれるから問題ねぇよ」どうしよう…と慌てているヒビキの頭を撫でて落ち着かせチョコの欠片を一口。
甘くてほろ苦い味が口の中に広がる。

甘いモノが苦手なオレでも食べられるぐらい美味くて思わず無言になってしまった。

「…ソウル美味しい?甘すぎない?」

くいっと袖を引っ張ってきた。
どうやら無言でチョコを食べ続けているオレに心配したみたいだ。

「美味いよ」

「ほんとに?ならよかった」

へにゃっと笑ったヒビキが可愛くてそんなヒビキに軽くキスをしてそこから深く舌を絡めていく。

「ん…ふぁ…」

苦しくなってきたのかとんっとオレの胸板を軽く叩いてきた。
オレ的にはまだヒビキの唇を味わっていたいが本気で苦しそうなのでぷはっと銀色の糸を引きながら唇を離した。

少し乱れた息を整えながら

「本当にありがとな…」

とヒビキを強く抱きしめていたらヒビキも息を整えながら小さく呟いた。

「あのね、今日…ママ夜まで帰ってこないの」

「…え…」

「だから、」


えっちしよ?


ぷつん、とオレの中で何かが切れる音がした。
僕を召し上がれ!




(2010.2.4)

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