研究所の窓から中を覗きこみどのポケモンを盗もうか考えているところにアイツは現れた。
アイツはどのポケモンにするか迷っていたがヒノアラシに決めたらしくヒノアラシを抱き上げ笑いかけた。
そんなアイツを見てなぜか心臓がうるさかったのを覚えている。
そしてアイツは腕にもらったばかりのヒノアラシを抱えにっこりと笑って"こんにちは"と声をかけてきたんだ。
(近くで見るとさらに可愛い)
とか変なことが一瞬頭を過りそんな考えを吹き飛ばそうと、
"ジロジロ見てんなよ"
とアイツを突き飛ばしてしまった。
その時のアイツは悲しそうな顔をしてオレは少し、本当に少しだけ胸が痛んだ。
そのあとポケモンじいさんとかいうヤツに会いに行った帰りのアイツに勝負を仕掛けた。
アイツが選んだポケモンより強そうなポケモンを選んだのにオレはアイツのポケモンにあまりダメージを与えられずに敗けてしまった。
敗けたのはオレのせいじゃない。
ポケモンが弱いからだ。
それから何度も勝負を挑むけど敗けてばかりで悔しい思いをしてきた。
でも最近敗けても悔しくなくなってきた。
敗けることによってまたアイツに勝負をけしかけることができるからだ。
アイツと勝負するのが、会うことができるのがなぜだか嬉しくて。
しかもここ最近アイツのことばかり考えてしまう自分がいる。
アイツのことを考えると心臓がうるさくなったり変なことを考えたり─何を考えているか詳しくは言わないが─とにかく最近のオレは可笑しい。
心臓のうるささやこの感情が何か分からないがとりあえず今日もアイツに勝負を挑もうと思う。
少年はそれを恋とは知らず走り出す
(2010.2.17)