「可愛いねー」
「りるー」
(いやキミの方が可愛いから)
なんて思いながらヒビキくんのベッドで横になりながらマンガを読んでいるふりをしつつ私のマリルと遊んでいるヒビキくんを観察しているわけですが、
少し潤んでいる大きな目。
赤みをおびていてぷにぷにしてそうな頬。
ふっくらしてる唇。
うん、やっぱり可愛い。
そしてなんとなく首筋に目線を向けたら、
(あっキスマーク発見)
ヒビキくんは気付いてないみたいだけど丸見え。
まだ真新しそれはきっとつい最近つけられたもの。
(昨日はバレンタインだったもんねー)
二人にとって初めてのバレンタイン。
そしてアイツはヒビキくんの家にお泊まりしたみたいだし。
そりゃあ盛り上がりますよね。
そう言えばベッドのシーツも新しいし。
いいなぁ、私も──
「コトネちゃん?」
「えっ?」
いろいろ考えていたらマリルと遊んでいた手を止めて私を見つめているヒビキくんと目が合った。
「どうしたのヒビキくん?」
「あのねコトネちゃんずっと僕の顔見てるからどーしたのかなって」
あっずっと見てたのバレてたんだ。(そりゃあガンミしてたらバレるよね)
「ヒビキくん可愛いなーって思って」
「かっ…!?」
そう言うとヒビキくんは顔を真っ赤にさせて"可愛くないよー"と顔を左右にぶんぶんと振った。
そんな動作をされたらさらに可愛くみえちゃうじゃない。(みえちゃうじゃなくて可愛いんだけどね!)
「ほんとに可愛いなーヒビキくんはー!」
思わずぎゅーっとヒビキくんを抱きしめた。
「コトネちゃん!?」
「こんな可愛い弟がいてお姉ちゃんは幸せだよ!」
ぎゅうっとさらに強く抱きしめたら腕の中から"苦しいよー"という声が聞こえてくるけど気にしない。
(こんなことできるのって幼なじみの特権よね)
(こんな姿みたら羨ましがるだろうなソウルのヤツ)
なんてことを思いながらヒビキくんに頬擦りをした。
可愛いは正義!
(あいつはこんなことする勇気すらないんだから)