「…暇だな」

誰もいない雪山でぼそっと呟く。
毎日誰かが遊びに来てくれるのに─だいたいはグリーンばっかだけど─今日は誰も来てくれない。
ポケモン達と遊ぼうと思ったけどみんなは今夢の中。
俺のわがままで起こすのは可哀想だ。


(暇だし寂しいな)


よし、俺も寝ようとみんなが丸くなって眠っている場所に向かおうと思った時、遠くから俺を呼ぶ声が聞こえてきた。


「レッドさーん!」

「ヒビキ?」

遊びに来ましたーと手を降りながら俺の元にやってきたヒビキに嬉しくてぎゅっと抱きついた。


「わっ!どーしたんですかレッドさん!?」

「誰も来てくれないと思ってたから嬉しくて
ヒビキはあったかいね」

俺は誰かにぎゅっと抱きつくのが好きだ(大好きな人に限るけど)
グリーンに抱きつくのも大好きだけどヒビキに抱きつくのも大好き
ヒビキは特にあったかいから(子供体温ってやつかな)

「レッドさんは冷たいですね」

「そう?」

「すっごく冷たいです!」

自分ではあまり冷たいとは思わないけど確かにここはすごく寒いから冷たくなってるかも。
さらにぎゅっと抱きつこうと思ったらいきなりヒビキが何かを思い出したように"あっ!"と大声を出した

「どうしたのヒビキ?」

「すごいんですよレッドさん!なんとグリーンさんがバトルフロンティアで優勝したんです!」


「グリーンが?」


「はい!さっき優勝したって電話がかかってきたんです!」

ぴくっと"電話がかかってきた"という言葉に反応する

「…ヒビキ、グリーンの電話番号知ってるの?」

「はい!この前教えてもらいました!」

「…そう」

なんだよグリーン
誰にも電話番号教えないからとか言ってたくせに
しかもなんで俺には優勝したってこと教えてくれないの
普通恋人である俺に一番に教えるべきでしょ?
俺よりヒビキが大事?


…すごくムカつく


「…レッドさん怒ってますか?」

「なんで?」

「怖い顔してるから…」

そんな怖い顔してるかな?
少し怯えているヒビキを安心させるため軽く笑って頭を撫でてあげた


「怒ってないよ」


(ヒビキには)


ヒビキにさらに強く抱きついて暫くはグリーンからの電話を無視しよう。
遊びに来たってシカトしてやる。

そう心に固く誓った。





この浮気者!





(2010.2.10)


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