島へと繰り出す仲間たちを横目に、机に置いてある手配書の束を拾い上げた。新世界で名高い、四皇を始めとする賞金首たち。そして、同じグランドライン前半の海にいるルーキーたち。ローの長い指が一枚一枚めくっていく。

すべて見終えて束を元のように置いたとき、不意に頭をかすめたのはナマエの言っていた海賊のことだった。彼女を海へ連れ出した海賊。彼女が探し求める、名前も特徴も知らぬその海賊は、一体どんな奴らだったのだろうか。ナマエは自分の過去について語ろうとすることもなく、あえてローも聞き出そうとはしていなかった。情報が多い方が探し出してやるには有効に違いない。それは本人も分かっているはずで。それでもなかなか切り出せないのは、彼女がまだ声を取り戻していないこと、そして過去についてのトラウマが原因であった。加えて、ロー自身もーーー


「......だから何なんだ」


彼女が船に乗ってからの生活は何かが大きく変わることもなく、でも確かに何かが変わっていた。ナマエとクルーたちの関係は良好で、誰一人彼女を忌み嫌うようなこともなかった。

それでいい。それがすべてじゃないか。

ローは刀を手に取り、部屋の扉を開けた。

彼女は今、ベポと共にいる。島には他の海賊も来ているという話だったが、ベポがいれば大丈夫だろう。他のクルーたちもそれぞれが強い力を持っている。


「何を考えているんだ、俺は」


甲板へと続く廊下を抜ける。よく晴れた空と光を反射する海に、ローは目を細めた。




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