船を降りるナマエの手を、ベポがそっと支える。ありがとう。口を動かして笑顔を向けると、どういたしまして、と言いながらベポは手を握った。


暫くの航海が続き、辿り着いた次なる島。天候は穏やかだ。先陣を切って島を探索してきたクルーによると、どうやらハートの海賊団以外にも現在此処に来ている海賊がいるらしい。ペンギンが厳重注意を促してから解散となった。


「あれ?キャプテンは来ないのかな?」

「どうだかなー。夜は飲みにくるんじゃねえの」

「えー。一緒にお散歩したかったなあ」


ねー、とベポが顔を覗き込む。ナマエは頷き、船の方を振り返った。


「ナマエが呼んでくれば出てくるかもしれねーな」


シャチの顔を見ると、何やら企んでいそうな笑顔を浮かべてナマエと目を合わせた。むっと口を尖らせるナマエにシャチがおどけてみせた。


「船長は少し調べ物をしてから上陸するらしい」

「ペンギン」


後から来たペンギンが、軽やかに船から降り立ちながら声をかけた。


「俺、待ってた方がいいかな?」

「いや。ベポはナマエと先に行くように言ってたぞ」


そっかあ。じゃあ行こっか。繋いだ手を握り直し、ナマエが頷いたのを見てからベポは街へと歩き出した。その後にシャチが続く。


「お前はどうすんの?」

「少し別行動させてもらう」

「そっか。んじゃ、また後でなー」


シャチはゆるゆるとペンギンに手を振り、彼を背にして小走りでナマエたちの方へと近付いた。ベポとは反対側にナマエと肩を並べる。


「で?お前らはどこ行くの?」

「いつもフラフラーって歩いて、入りたいお店に入ってるって感じだよね」


ナマエはシャチを見上げながら首を縦に振ってみせた。


「そっか!シャチはあんまり俺たちと一緒にお散歩したことないもんね」

「そうなんだよ。いっつも酒場探しか食材調達に回されてるからなー」

「今日はいいの?」

「んー、たぶん。何も言われてねえし。船長がお前らといない分、俺が代役ってとこかな!」


親指を立てておどけるシャチ。キャプテンの方がかっこいいよ、とベポが言う。ナマエは二人の様子を真ん中で見ながらクスクスと笑っていた。




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