「、!」


目が覚めた。見えたのは馴染みのない天井。


(...そうだ)


ここはベポと...ローという海賊の船だ。辺りを見回すと円い窓があった。外は暗い。


「......」


耳を澄ませても何も聞こえなかった。恐らく夜中なのだろう。


(また嫌な夢を見た)


ナマエは額に手をやる。汗を掻いていた。
頻繁に同じ夢を見る。それは、ある人とナマエが引き離されたときの光景。思い出す、という方が正しいのかもしれないが。
泣き叫ぶ自分と、こちらに手を伸ばすあの人。あの人も何かを叫んでいるのだが、最近は声が聞こえなくなっていた。互いに伸ばした手は触れることなく、距離が離れていく。


(あの人は)


今どこにいるのか。無事だろうか。あの日自分に語ってくれた夢を、今でも追いかけているのだろうか。


(あの人は...私を覚えているだろうか)


夢にまで見るほど、こんなにもあの人を想っている。それは自分だけなのだろうか。




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