夜になって。ハートの海賊団はシャチとペンギンが見つけた酒場で飲み食い騒いでいた。


「ただいまー」


ドアの方からした声にローが振り向くと、そこにはベポの姿。


「おぅ!あれ?お前、ナマエと船に帰ったんじゃねーのかよ」


ベポに気づいたシャチが酒を片手に聞いた。


「うん。俺も船に残ろうと思ったんだけど、ナマエが行ってきなって」


ローの横にちょんと座ったベポは、目の前のシャチに向かってそう言った。

先程まで共にいたナマエだったが、一応まだ回復したばかりだということで、一足先に船に戻らせたのだった。一人では何かあったら困るのでベポに連れて行かせた。そのときは一緒に船にいると言っていたベポだったのだが。


「いいのかよ、一人にして」

「うーん...だってナマエが笑ってそんなこと言うから」


断れないよ、と言うベポに、まあ確かになー、と納得するシャチ。


「ダメだったかな...?」


少し不安げにローを見つめるベポ。


「いいんじゃねえのか。部屋の整理でもすんだろ」


昼間の買い物で家具やら服やら物が大量になった彼女の部屋を思い出したローは、ふっと笑みをこぼして酒の入ったグラスを口に付けた。





一方、ハートの海賊団の船に残ったナマエは部屋のベッドに腰掛けた。


(それにしても...)


見回すとそこには新しいタンスや鏡、洋服があって。部屋として与えられたのは、ローの部屋に比較的近い空き部屋。とはいっても、此処は物置のように使っていたらしく、ベポや他のクルーが片付けてくれたようだった。


(こんなに買ってもらっちゃって、なんか...)


申し訳ない。そう思った途端に浮かんだ彼の顔。不敵な笑顔の億越ルーキー。




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