それなりに大きな島のようで、街は多くの人で賑わっていた。そのメインストリートを歩く二人と一匹。


「ナマエはどんな服が欲しい?」


口を開いたのはオレンジのつなぎを着たベポ。その傍ら、ナマエは手をつないで歩いていた。


「聞いたってこいつが困るだろう。答えたくても答えられねぇんだ」

「あ、そっか!」


少し前を歩くローがちらりと振り向きながらベポに言った。ごめんね、と謝るベポにナマエが笑顔で首を振ってみせる。まったく悪気がないのだから仕方ない。スタスタ歩くローにおいて行かれぬよう、ナマエはベポの手をしっかり握ってその背中に続いた。

おっきい街だねー、とナマエに話し掛けるベポの声を聞きながらローは歩いていた。勿論その声にナマエの応答はないのだが、おそらく笑っているのだろう。ベポの声色がいつも以上に嬉しそうだ。


「キャプテーン!」


ベポの声に振り向くと、二人は人混みのなかで立ち止まっていた。


「あそこに入りたいってナマエが、」


そう言ってベポが指さしたのは一件の洋服屋。ナマエは口をきゅっと結び、ベポと手をつなぎながら緊張した顔でこちらを見ていた。


「あぁ。好きなモン買え」


ローがそう言うと、行こ行こ!とベポがナマエの手を引いて店へと向かっていった。人の合間を縫って進む中、歩きながらこちらを振り返ったナマエと目があった。




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