「ナマエー」


ベポが医務室に入ってきた。船が島を出てから二日、ナマエは相変わらず点滴をしながらベッドにいた。
ナマエは読んでいた本から顔を上げ、ベポを見た。


「よっ」


ベポの後に続いて入ってきたのはシャチ。片手を上げたシャチに、ナマエも片手を上げてみせた。本をパタリと閉じて枕元に置きながら少し微笑むナマエに、ベポは近づきながら笑顔を見せた。


「おいナマエー。お前また船長の本読んでんのかよ」


シャチがナマエの傍らにある分厚い医書を見て顔をしかめた。それを見てナマエは笑いながら頷いた。
ナマエと出会ってからまだ数日だが、時折笑顔を見せるようになった。ローにも診察の時に医学書を貸してもらうようで、読書をしていることが多い。

ベポには早くから心を開いていたナマエ。しかし海賊に抵抗を示していたことから、ローはともかく、シャチやペンギンが接触することにベポは正直不安を感じていた。それ故、シャチに話しかけられてふと微笑んだナマエにほっとしたのは、ここだけの秘密だ。


「ナマエ、ここに置いとくね」


ベポはベッド脇のチェスト上に洗濯物を置いた。最初にナマエが着ていた服だ。それを見てナマエはありがとうと口を動かした。

彼女が今着ているのは患者用の服。生憎女物はおいていないので、一番小さいサイズのものを渡した。それでも痩せていたナマエには大きく、袖は折り返してあった。それが彼女の小ささを更に際立たせている。




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