「......で、」
青筋をたてている男が沈黙を破った。
「どうしてこいつがいるんですか!?」
ペンギンの怒鳴り声が部屋に響いた。
潜水後、無事に海軍から逃れたハートの海賊団。現在その医務室にはローとペンギン、ベポ、シャチ、そして話の中心であるナマエがいた。ナマエはベッドの上で上体を起こし、ベポがその手を握っていた。
「ペンギン!大声出さないで!」
ナマエがびっくりしてるでしょ!
ペンギンの声に身震いしたナマエの手をベポはやんわりと包んで、大丈夫?と聞いた。ナマエはこくこくと頷いた。
ペンギンは腕組みをしてベッドの脇の椅子に座るローを見やった。ローは足を組みながらクツクツと笑っていた。
「出航までには降ろすって言ったのは誰でしたっけ?」
「俺だな」
そうです、あなたです、船長。ペンギンの不機嫌さの責任取ってください。
心で呟いたシャチは小さくため息をついた。
「落とし物は拾ったヤツのものだ。だから俺はこの落とし物を船に乗せることにした」
「俺が拾ったんだから文句は言うな、と」
「よく分かってるじゃねぇか。ペンギン」
ローは得意の笑みを見せてから、ナマエと目を合わせた。
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