「...おい」

「......」

「...おい。質問に答えろ」

「......」


ここはハートの海賊団の船の一室。そこにはこの船の船長であるローと白クマのベポ、そして2人の前のベッドにはナマエがいた。ナマエにお昼ごはんを持ってきたベポにローが着いてきて、今は食後の診察中だ。ベポが部屋に入ってきたときこそ穏やかな顔だったナマエだが、続いて入ったローを見たときから彼と目を合わそうとしなかった。


「これは診察だ。答えてもらわなきゃ困るんだよ。いつから声が出ないんだ」


沈黙を突き通すナマエに半ば苛つきを見せるロー。ナマエは食べきった皿をベポに渡すも、ペンを握ろうとしない。


「ナマエ...ちゃんと答えて?」


ね?と皿を受け取りながらベポが言った。彼と目を合わせたナマエ。どうやらベポだけには心を許しているようだ。暫くベポと見つめ合ったナマエは、ようやくペンを取った。


“男たちに蹴られた辺りから急に”


そう書いた紙を見せるナマエ。


「あのときの海賊か」


ローが聞くとナマエは頷いた。今度はしっかりとその目にローを映していた。


「...そうか」


ショック性だろうな、と言ってローは椅子から立ち上がった。


「明日俺達はこの島を出るが、おそらくお前の体力は完全に回復しないだろう。声もまだ出ないな。それでも船を出すときには降ろしてやる。それまでは嫌でも我慢するんだな」


ローはナマエを見た。自分で体を起こすのに不自由がないほどには回復してきた。今も上半身を背中に置いた枕にもたれかけ、ローを見上げていた。暗い光を放つ漆黒の瞳がローを捉える。




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