「入るぞ」


ノックをしてからドアノブを回し、ローはナマエのいる医務室に足を踏み入れた。中に入るとベポの後ろ姿が目に入った。ベポに隠れるようにしているのがナマエなのだろう。決して意図的に隠れているわけではなく、単にベポが大きいだけなのだが。


「キャプテン、見て見て!」


ローに気づいてベポが満面の笑みで振り向いた。ベポがぱっと横にはけると、そこにはこの海賊団の象徴とも言える白のつなぎをきたナマエの姿があった。

買い物に出かけるとはいえ、初めに彼女が着ていた服はボロボロだったし、女物の服があるわけもなかったので、余っていた一番小さいサイズのつなぎをローが渡していたのだ。それでも痩せているナマエには大きかったらしく袖や裾を何回か折ってあり、全体的にぶかぶかだ。


「ナマエ似合うでしょ?可愛いー!」


そう言ってベポはナマエにぎゅっと抱きついた。顔を少し赤らめながら、ナマエはベポの頭をふわふわと撫でた。


「いいだろう。それぐらいなら許容範囲だ。ベポ、俺も着いていく」

「キャプテンも?」

やったあ!


ベポは嬉しそうに両手を上げて喜んだ。シャチとペンギンにも見せに行こうよ!と言って、ベポは部屋を出た。ナマエもそれに続いたのを横目で見て、ローは扉の横の壁に背を預けた。


「、どうした」


出て行ったと思ったら控えめに引っ張られた服の裾。そちらに目をやると、ナマエがいた。ぱちっと両者の目が合う。


“ありがとう”


ナマエの口がそう動いたのを見て、ローはふっと口元に笑みを漏らした。そして少し屈んで同じ高さに顔をもっていく。


「似合ってるぜ」


ニヒルな笑みを見せてローが言うと、少女は顔を赤らめた。それを見てローはくくっと笑い、また体勢を戻す。そして小さくお辞儀をしてベポを追って走っていったナマエの後ろ姿を見送った。




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