ゆっくりと船が岸に着く。碇を降ろすと、クルー達はぞくぞくと出掛ける支度をし始めた。
「ペンギン」
「船長、分担はこれでいいですよね」
声をかけてきたローにペンギンは紙を差し出した。そこにはクルーの名前が書いてあり、買い出しのグループを示していた。ローはざっと目を通してからあぁ、と返事をした。
「ベポは彼女と行くんでしょう、」
ペンギンは少し前からのベポの様子を思い出した。そわそわしながらシャチを誘っていたところを見ると、おそらく彼も一緒に行くことになるのだろう。
「ペンギン」
「はい」
「俺もあいつらに着いていく。ベポも一緒だ。お前はシャチと良い酒場を探しておけ」
ペンギンは自分の耳を疑った。この男、今何と言った?
「船長、あなたも彼女と行くんですか?」
「あぁ」
船長は既にあの女に毒されているのかもしれない。ペンギンは驚きつつも了承した。一度言い出した彼には何を言っても無駄だということはよく分かっている。
「ペンギン、船長何だって?」
返事を聞いて船内へ戻っていったローと入れ替わりに背後から来たシャチ。
「お前は俺と酒場探しだと」
「えぇっ!まじかよ!」
俺もナマエと買い物行きたかったー。
やはりそうだったのか。横で口をとがらせるシャチ。でもそれに従うのは、彼も船長の性格を熟知しているからだ。
こうなったら絶対美味い店見つけるぞ!と意気込むシャチに、ペンギンは頷いてみせた。
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