「そっか......」
でも、これは美味しいスープだから大丈夫だよ、とベポが言う。するとナマエはちらっとベポを見てから、ゆっくりスープに口を付けた。
「......!」
一口飲んで、ナマエは少し目を見開いた。
「おいしい?」
ベポが聞くとナマエは『おいしー』と口を動かした。そしてあっという間にスープを飲みきる。空いたカップをベポに渡すと、ナマエは紙に“ベポ”と書いて見せ、少し首を傾げてみせた。
「うん?俺の名前?」
ナマエはこくりと頷く。
「そっか。まだ言ってなかったもんねー」
ベポがそう言うと、ナマエは僅かに微笑んだ。
「あっ!ナマエ、今笑った!」
そう言われてナマエは目を逸らし、また真顔に戻ってしまった。あぁー、と残念がるベポ。しばらく沈黙が流れた。
「...ねぇ、」
ベポが真剣な顔をして口を開いた。
「俺のこと、キライ?」
少し間をおいて、ナマエは首を振った。
「...でも...俺、海賊だよ?」
ベポが言うと
“だって、ベポはクマだし”
そう書いた紙をナマエが差し出すと、ベポはクマですいません、と落ち込んだ。
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