「おい、」
ローがナマエに声をかける。一瞬驚いた表情をしていたローだが、今は冷たい顔をしていた。ナマエはローに視線を向ける。
「なぜそんなに震えてるんだ」
ナマエは震えていた。ローに指摘され、布団の上できゅっと手を握り締める。そしてペンを握ると
“海賊は嫌い”
とだけ書いて見せた。
「ナマエ...」
それを見て悲しい顔をするベポ。ナマエはそう書いたきり、ずっと俯いていた。
「お前が海賊に何されてきたのかは知らねえ。だがな、覚えとけ。俺は医者としてお前をこの船に入れたんだ。どうしようとも思っちゃいない」
ローは続ける。
「とりあえず体力が戻るまでは大人しく寝ておけ。いいな」
そう言ってローは立ち上がり、俯いたままのナマエをもう一度見る。そして、部屋を出ていった。
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