開いたドアの外には、先程の白クマもいた。
「死にかける程だったんだ。そう簡単には回復しない」
男、もといローはツカツカと少女の側へ歩み寄る。
「少しの間、ここで安静にしていろ。お前の世話はベポにさせる」
「......」
少女はローをじっと見つめる。帽子を被り、腕には刺青。さらに目の下には濃い隈。しかし端正な顔つきのローに、彼女は戸惑っていた。いつの間にかベポもローの隣にやってきていた。
「おいお前。名前は」
ローの問い掛けにはっとする。少女は閉ざしていた口を開いた。
「......」
「......」
はずだった。
「...お前、声、出ないのか...?」
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