光が差し込む。


「お前の家族のお出ましだぜ?」


にやりと笑いながら、男はナマエに背を向けた。その先、破られたドアの場所には


「ナマエ!」

「マル、...さ、」


炎の翼を付けたマルコの姿があった。

じわりと涙がにじむ。強く瞼を閉じると、出血のしすぎか身体が揺らいだ。少年を腕に抱いたまま重力に逆らえず床に倒れる。意識が飛びそうになる中、なんとか少年に衝撃がないように庇った。


「おねえちゃん!」

「おーおー、なんだ?死んだか?」


少年の声に海賊がマルコに目を向けたまま反応した。ハッとした顔をしていたマルコであったが、僅かに上下する肩を見てその表情を引き締めた。


「死んでなんかねェよ。あいつはそんな弱い奴じゃない」

「弱いさ!まあ、腕はよかった。だがな、女は所詮女なんだ。男の前では相手にもならないんだよ!」

「てめェ......その口きけなくしてやるよい」

「お前らの大切なカゾクがこっちに囚われてんだぞ?そんなこと言っていいのか?」


少年がしきりにナマエの様子を伺って呼びかける。その返事を待っているのはマルコもまた同じであった。

声を聞かせてほしい。

敵と対峙しながらも、意識の片隅で彼女のことを考える。しかし、少年の声に痺れを切らした海賊が眉をひそめた。


「オイ......うるせんだよこのガキが!」


敵がナマエと少年に向かって蹴りを放つ。それが速いか、マルコが飛び立つのが速いか、危険を察知して炎を散らしながら二人の間に舞い降りた。海賊の足とマルコの足がぶつかり合う。




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