「え?」
「当たり前だろう。まさかお前、木刀でやり合おうってんじゃないよな?」
ちょうどナマエがカレーを食べ終わった頃。目の前に座っていたビスタは髭を撫でながら笑いかけた。
「大丈夫だ。そういうのは沢山ある。お前の身の丈に合うのもあるだろう」
じゃ、行くか。
そう言ってビスタは立ち上がり、続いてナマエも後を追いかける。
向かう先は、モビーの武器庫だ。
「ビ、ビスタ隊長!」
ん?と顔を向けずに歩みを進めるビスタ。ナマエは小走りで彼の横へと移動した。
「あの、あたし、もう本物持ってやるんですか?」
「そろそろいいだろ。海賊なんて、いつ戦いが起きてもおかしくない。早いに越したことはないさ」
「でも...まだそこまで強くないし」
そう言って眉尻を下げるナマエ。
「お前が思ってるほど、弱くないんだぞ?俺がいいって言ってるんだ。任せろ。な?」
ナマエの頭に大きな手を置き、微笑むビスタ。はい、と小さく返事をすると、ビスタは満足げに笑った。
少し歩き2人が足を止めたのは、廊下の一番奥の部屋の前だった。ビスタがその扉を開き先に足を踏み入れ、電気を付ける。
「わ…!」
「さ、お前に合うのを探すぞ」
そこには所狭しと武器が並んでいた。剣も刀も銃も、なんでも揃っていて。一瞬入るのをためらったナマエだったが、慌てて奥へ進んでいくビスタに駆け寄った。
「すごいだろう」
ビスタがナマエに声をかける。きょろきょろと左右を見ながら後に続いていたナマエは、はっとビスタに顔を向けた。
「すごい、です。こんなに...」
思わずナマエは自分の腰に差した短剣に触れた。
「この辺だな、合いそうなのは」
ビスタが足を止める。目の前にはずらりと剣が並んでいた。長さも、柄の色も様々だ。
どうしたらいいのか分からずにいるナマエを尻目に、ビスタは次から次へと剣を取り出してはナマエの手に持たせ、重さや長さを聞いてくる。
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