「ビスタ隊長!」

「おー、やってんなァ。いいぞ、続けろ」


甲板で交わる木刀の音。ビスタは腕組みをしてそれを見ていた。

ナマエが白ひげ海賊団に入って早3週間。ビスタの指導の元剣術の訓練を始めて、初めは嫌々だったものの、これが意外にも楽しく感じるようになっていた。


「ハッ!」


カン!とぶつかる音が響く。ナマエと相手の少年は、互いに交わる木刀を挟んで向き合う。どちらも汗を浮かべながらも、ギリギリとその手に力を込める。


「甘いぜ!」

「っ!」


一瞬ナマエが握り直そうと力を緩めた途端、少年はぐっと姿勢を倒してナマエを追い込んだ。


「俺の勝ち」


にっと笑う少年──レオ。同じビスタの隊に所属していて、初めに手合わせをした相手だ。お互いまだ新入りなため、鍛錬もよく組んでやっていた。

床に仰向けに倒されたナマエを、レオは得意気に見下ろす。ナマエの顔の横にはレオの木刀が床に突き立ててあり、お互い息が上がっていた。


「これで俺の全勝記録更新な」


レオは木刀に体重を乗せ、上からナマエの顔を覗き込んだ。


「余裕かましてんなよっ」

「うわっ!?」


にいっと笑ったと思ったら、ナマエはレオの木刀を掴んで引っ張り、体勢を崩したのに追い討ちをかけてその足首を自分のそれで絡め取って。為すすべもなく、レオはナマエの横に顔面から倒れ込んだ。


「──ってぇ!!!!何すんだよっ!」


赤くなった鼻を押さえ、涙目で吠えるレオ。ナマエは立ち上がりそれをほくそ笑んで見下ろす。


「赤いよ、鼻」

「あたりめーだ!卑怯だぞ!勝負ついてただろーが」

「卑怯も何も。まだ反撃の余地があったから、やり返しただけだし」

「覚えとけよ!次は頭に一発くらわしてやっからな!!」


未だに鼻を擦りながら声を荒げるレオと、ツンとした態度のナマエ。それを半ば呆れながら笑ってみていたビスタは、やれやれ、と呟いてから髭を一撫でした。


「レオ。ナマエ。終わりにしろ。昼飯の時間だ」




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