『マルコ、ナマエを部屋に案内してやれ』


隊長たちとの話し合いのあと、ナマエはマルコに連れられて自室へと向かっていた。前を歩くマルコは特に話をすることもなく、ナマエも何を話せば良いのか分からなかったので、両者無言で歩く。その間にも何人かのクルーとすれ違い、マルコは挨拶を返していたりした。


「ぅわっ!」


船内をぼーっと見回しながら歩いていたナマエ。急に立ち止まったマルコにぶつかりかけた。そんなことはお構いなしに、マルコは目の前のドアを開けた。


「此処がお前の部屋だよい」

「えっ!こんな広いの?!」


開いたドアの向こうをひょこっと覗く。そこは想像していたよりも綺麗で広く、タンスとベッドも置いてあった。目を丸くして中を見るナマエをみてマルコは笑いながら言った。


「そんなに広くねぇよい。クルー達はこれぐらいが普通だな。まぁ、あいつらは4人で使ってるけどねい」

「そ、そうですか......」

「...お前、どんなの想像してたんだ?」

「......使ってない、古い倉庫、みたいな、」


ナマエがそう言うと、マルコはケラケラ笑ってそんなに貧乏な海賊団じゃねぇよい、と言った。

本気でそう考えていたナマエは、正直ほっとしていたのだった。


「此処は自由に使っていいよい。次に島に着いたら好きなモン買ってきな」


部屋の中に入ってベッドに荷物を置く。まだほとんど何もないから質素だが、十分カスタマイズできそうだ。そんなことを考えていると、マルコはじゃ、俺は行くよい、と後ろで言った。


「あのっ」


ばっと振り向くナマエ。マルコは立ち止まってこちらを見た。


「えと、その、」


じっとマルコに見られ、言葉がうまく出てこない。ナマエは大きく息を吸って吐いた。


「...ありがとう、ございます」


それを聞いてマルコはニコリと微笑み、あぁ、と言って出て行った。




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