『妹を...ナマエを、海へ連れ出してやってください』

「...辛すぎるだろい」


クルアの言葉を思い出し、マルコは溜め息をついた。今はモビーディック号の甲板にいた。日が昇った頃にのそのそとクルー達が起き始め、クルアの店から退散してきていたのだ。


「なに辛気臭ぇ顔してんだよ」


サッチがマルコの肩をたたいた。


「や...ちょっと、な」


マルコがそう言うと、クルアに惚れたのか!?譲らねーぞ!!と言うサッチ。


「いや、違うよい。...その妹のことだよい」


はぁ、ともう一つ溜め息。マルコが溜め息をついている原因は、『妹を連れ出して』ということもあるが、何よりその後に聞かされた内容にあった。


「あいつか!あれ、絶対クルアの妹じゃねぇだろ!」


あり得ん!とサッチは身震いした。少女とはいえ、自分を殺しかけたナマエを毛嫌いするのは仕方ないだろう。ただ、


「あいつはクルアの妹だよい」


マルコは語気を強めてそう言った。正確に言うと、強まってしまった、のだが。


「...何でもいいけど、俺はあのガキ嫌いだぜ」


つーか怖ぇ、とサッチ。


「なぁ、そういや、オヤジどこ行ったんだ?」


いないのか。おそらく今頃、白ひげはクルアと会っているのだろう。昨日の話を聞いたマルコは、最後にクルアに船長の許可がないとどうにもできない、と伝えた。マルコから話をしてみると言うと、彼女は自分で話します、と言ったのだ。マルコは夜のうちに概要だけ説明し、話をしてほしいと白ひげに伝えてあった。


「...散歩、だろい」


マルコの言葉を聞いて、散歩ォ?とサッチは不思議そうな顔をした。




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