「カイル!!」


クルアはマルコの方を見てそう言った。どうやら視線はカウンターの中のようだ。クルアと話していたエースとサッチも、そちらを向く。サッチは明らかに嫌そうな顔をしていた。


「表に出てくるなんて珍しいじゃない。どうしたの」


クルアがマルコの方──カイルと呼ばれた者の方へ歩み寄った。マルコが振り返ると、そこにはすらっと背の高い男がいた。


「酒、そんだけじゃ足りないでしょ」


男──カイルが両手に持っていた酒瓶を軽く持ち上げながら言う。その後もカウンターごしに言葉を交わすクルアとカイル。親しげな2人を見て、サッチはエースの肩を揺すりながらどういうことだよーっと叫んでいる。


「落ち着けって!サッチ!」


ガタガタと揺すられ、首を痛そうにするエース。


「だってよぉ!!見たか!?今の!?すげーイケてる兄ちゃんじゃねぇかよ!!」

「サッチ、静かにしろい」


マルコは一言そう言って、もう一度クルア達に目をやる。実際サッチが焦るのも無理はない。ぱっちりした目、すっとした鼻、少し長い髪はクルアより少し暗い栗色。背も高く、確かに“イケてる兄ちゃん”であり、今目の前で喋る2人はお似合いで。“美男美女”と言うに相応しいのだ。




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