街の一角で再び集まり、更に3つの組に分かれた。結果的にナマエはビスタが先頭を切る中に入ることになり、それはレオも同じだった。
「うっわー。人、結構いますね」
「そうだな。そうは言っても、大都市ではないからこのくらいが妥当だろう」
辺りを見渡しながら声を上げるレオ。それに答えてから、ビスタはレオと反対側の隣を歩く少女を見た。
「ナマエ、暑くないか?」
フードの奥の目と目が合う。ナマエは少しずらし上げ、顔を出した。
「大丈夫です」
「そうか。ならいいんだ。...どこか寄りたい所があれば、いつでも言うんだぞ」
「え?」
口を小さく開けてビスタを見上げるナマエ。ビスタはくいっと口の端を上げた。
「お前、洋服をあまり買ってないだろ」
ナマエが目を見開いたのを確認し、ビスタは続けた。
「毎回金を余らせすぎだ。あれじゃあ、誰が見たってそう思うぞ?」
島に着くと、平隊員達には毎回金が支給される。言わば、お小遣いのようなものだ。もちろんポケットマネーを持つ者も多いわけだが、それとは別に貰える。一味の金のため、出航の時には余りが回収されるシステムになっていた。
「大概の奴が使い果たしてくる中で、お前のものはよく目立つんだよ」
ま、使い果たす程の金遣いも問題だが。
そう言って、ビスタは楽しげに笑った。
「今回、あまり支給されてねえだろ」
「...はい」
「オヤジの計らいだ」
ビスタは自らのポケットから袋を取り出した。
「お前の分だ。オヤジが俺に持たせた。ナマエに渡したところで、意味をなさないだろうってな」
そうビスタに渡したときの白ひげの笑みを想像し、ナマエは苦笑いをした。それを見て、ビスタはナマエの背中を叩いた。
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