ガヤガヤと賑わう食堂。ビスタに続いて足を踏み入れたナマエとレオは、そのままカウンターへ食事のプレートを取りに行った。
「よう、ビスタ。はいよ」
「ありがとな」
内側で忙しく料理を出すのはサッチだ。その目の前ではマルコが食事をとっていた。今日はカレーライスらしい。
「マルコ隊長、サッチ隊長、ちわっす!」
ビスタに続いてレオが挨拶をして受け取る。
「おうよ。慣れてきたか?レオ」
「はい!お陰様で」
「そりゃ良かった」
レオが嬉しそうに笑いながらカレーを受け取る姿を横目で見てから、マルコはふとその後ろに視線を移した。そこには、前のやり取りから目を逸らすナマエがいて。
「ナマエ」
マルコが名前を呼ぶとびくっと体を揺らす。そして警戒したような目を向けた。
「お前、飲み込み早いねい。なかなか上達してきたんじゃねえの?」
先ほどの打ち合いを通りすがりに見ていたのだ。僅かな時間ではあったが、初日とは見違える動きの良さはよく分かった。
マルコの発言に目を丸くし、それから視線を泳がせて。
「全然、まだまだ...です」
(素直じゃないねい)
控えめな声で言ったナマエ。しかし、誉められたことは嬉しかったのだろう。その頬はうっすらと朱に色付いていた。
「ほーう。謙虚なこったァ」
コトリ、とナマエの横に皿が置かれた。声の主はサッチで、ナマエは流していた視線をそちらに向け、じろりと睨んだ。
一方のサッチは、それを上から目線の薄ら笑いで返す。
「いいんじゃねぇの?謙虚な女の方がいいぜ、俺は」
「お前の好みなんか聞いてないわ、変態」
「おーおー、出た。変態って言った方が実は変態なんだぞー」
「うっせーハゲ。黙れ!」
怒りを露わにするナマエ。相変わらず仲の悪い2人のこのようなやり取りには慣れたもので、マルコは溜め息をついた。ちなみにナマエの口の悪さは、今のところサッチ限定である。
「ハゲてねーよ、ちび。いいさ、お前が実力ついたら、サッチさんが相手してやる。どうせ俺の二刀流の前に惨敗だろうけど」
「なっ!覚えとけよ!絶対勝ってやる!で、お前のリーゼントぶった斬ってやる!」
些か彼らの口喧嘩は威勢がいい。
「やってみーろ。ガキンチョ」
「、このやろっ......!」
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