「いやあー、お前すげーなあ!」


時は夜になり。ナマエが仲間に加わったことで白ひげ海賊団は甲板で宴をしていた。


(昨日も一昨日も飲んでたのに...)


ナマエの目の前には酒を飲み、食事を食べながら騒ぐクルーたち。ナマエは気を張った状態でその輪の中にいた。

そんなナマエの隣ですげーすげーを繰り返すのはエース。先程の打ち合いを見ての感想なのだろうが、もっと他に言葉はないのだろうか。


「ナマエも飲もーぜ!」

「いや、」


ずいっと目の前に酒を出したエース。完全に酔っているようで、ふにゃりとした笑顔でこちらを見ていた。


「なんでだよー。主役なんだから、なっ?」

「いや、あたし飲めないし、」

「え!酒飲んだことねーのか!?」


びっくりした顔でエースはナマエを見た。いつもクルアに止められていたので、全くと言っていいほどに酒は口にしたことがなかったのだ。

それでもエースは飲もうと誘ってきて。無理ムリ、と拒み続けるナマエ。そんな2人のやり取りを目の前で見ていたマルコが呆れ顔で口を開いた。


「エース、無理に飲ませるもんじゃないよい」

「だってよー。せっかくの宴なんだから、これを期に飲んでみろって!」


にっと笑うエースが眩しくて。ナマエは思わず顔を赤らめた。


「おいガキ」


その声はナマエの頭上から降ってきた。ナマエとエースが同時に振り返ると、そこにいたのは変態かつ天敵──もとい、サッチだった。

それを見てムッとしたナマエが眉間に皺を寄せた。


「どうだ、俺の料理は」

「......」

「......」

「......」

「なんか言えコラ」

「......おいしい」


睨み合いが続いてから発したナマエの一言は本当に小さくて、すぐにクルーが騒ぐ声にかき消されてしまった。しかしそれはしっかりサッチの耳に届いていたようで、満足げな顔を見せた。


「そーだろーな。まァ、まずいなんて言ってみろ、お前のメシは作ってやらねーからな!」


にやっと意地の悪い笑みを浮かべたサッチ。ナマエは認めるのが悔しかったが、おいしかったのは確かだった。それがよけいに悔しくて。上機嫌でサッチが置いていったごはんをパクパクと食べ出したエースを横目に、ナマエは頭を掻いた。目の前のマルコは優しい目をしていて。


「まだまだどっちも子供だねい」


少し不機嫌になりながらもスープを飲む少女の様子を見ながら呟いたマルコの言葉は、誰に聞こえることもなくかき消されていった。




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