声を上げたナマエ。話の中心でありながらずっと黙っていた彼女の声に、一同の視線が集まる。その迫力にやや圧されながらも、ナマエは口を開いた。
「あの、あたしはなんか...その、戦闘員扱いなんですか?」
「そうだ」
あぁ......なんでそんなことになってるんだ。あたしはどう見ても戦える人材ではないだろう。むしろ料理の腕前の方が確かなのだから、そっちの考えはないのか。
しらっと答えた白ひげに、ナマエは思わず苦笑いを見せた。
「あの...あたし、厨房で働かせてもらいたいと「厨房だぁぁ?!」!」
ナマエが言い切る前に叫んだのはサッチだった。
「おいおいばか言うなよ!此処の厨房は俺が仕切ってんだ」
この男、料理できたのか。怒鳴るサッチをぽかんと見ながら、ナマエの頭に浮かんだのは“意外”の2文字。
「確かにお前の店の料理はうまかったけどよ、ありゃカイルのだろ?」
「......あたしも作ってたけど」
「ハッ、だとしても俺の領地には踏み入れさせねぇぞ!」
「......」
ナマエは心の中で舌打ちをした。なんでよりによって変態がコックなんだ。
2人のやり取りに、マルコは声を殺して半ば呆れ気味に笑っていた。
「グララララ!俺らとしちゃあ、こんな逸材を放ってただの厨房アシスタントにするわけにはいかねぇよ」
お前の料理もまた食べたいがなぁ。
そう言って白ひげは再び笑った。
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