マルコの仲裁(サッチには拳骨が落とされた)によってひとまず落ち着いたナマエたち。といっても、離されてもなおどちらも殺気立っていた。今はクルー達は持ち場に戻り、ナマエと隊長たちは船長室にいた。
「ナマエ」
白ひげはどっかりと椅子に腰掛け、その周りを隊長たちが囲むように座った。ナマエは白ひげと向かい合うようにして立っていた。
「この船に乗るからには、何かしら役割を持ってもらわねぇといけねェ」
それはそうだ。何もしないでいるのは、ただの居候。そんな風になるつもりはナマエもさらさらなかった。料理はカイルに習い、それなりにできると自負している。だから厨房にでも入って手伝おうと思っていた。
「そこでだ。ナマエ、お前は隊に入ってもらおうと思う」
「隊......?」
さっぱり分からないという表情を浮かべるナマエ。それは本人だけではなかったようで、隊長何人かも目を丸くしていた。
「親父!正気かよ?!こいつ素人の女だぜ?!戦力になんねーだろ!!」
声を上げたのはサッチ。白ひげはにやりと笑って見せた。
「こいつぁ鍛えれば強くなる。あの俊敏な動きと強気な性格」
お前が一番身にしみてんじゃねぇか?
そう言われて店での一件を思い出したサッチは、まぁ...と言いながら口を噤み、目をそらした。
マルコも驚いた1人だったが、どこかでこの展開を予測していた。ナマエは確かに素人だが、初めて会ったときの印象は強烈だった。酔っていたとは言え、白ひげ海賊団の隊長に刃先を突きつけ、挙げ句の果てには白ひげにも立ち向かおうとする。かつてのエースを彷彿とさせる姿だと感じていた。
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