白ひげの号令と共に帆が張られ、クルーが皆背負うマークが空の青に映えた。船が少しずつ島から離れていく。マルコが白ひげを見ると、目があった男は楽しげな顔をしていた。白ひげもナマエが来ると確信しているのか。意図は掴めないが、何か考えがあっての出航なのだとマルコは思い、少し安堵した。

久々の船上特有の感覚を味わっていると、島の最端にある崖の上に人の姿があった。ちょうど横を通る位置にあるそれに徐々に近くと、風に揺らめく銀の髪が目に付いた。


「っ、白ひげっ!!」


だんだんはっきり見えてくると、その少女は船長の名を叫んだ。


「......来たな」


呼ばれた白ひげはその姿を視野に入れると、嬉しそうに口角を上げた。


「あたしはっ...!」


離れた位置にある船に向かって、ナマエは声を張り上げた。


「あたしはっ...あんたのことを親父とは呼べない!!あたしにとってのお父さんは、あの人だけだからっ...!!」


ナマエの言葉を黙ってクルー達は聞いていた。船はもうナマエの正面にあり、少しずつ離れていこうとしていた。


「だからっ、娘にはならない!!でも......でも、あたしは、お父さん達が愛した海賊を...本当の両親が愛した、海賊を、知りたい...!!」


少しずつ、けれど力強く言葉を発するナマエ。そして息をすっと吸った。


「白ひげ!!
あたしを、海へ連れて行って!!」


ナマエの張り上げた声は、離れていた船に響き渡った。待っていたその言葉に、クルー達は満足げな顔を見せた。


「グララララ!上等だァ!見せてやる!本当の“海賊”を!!」


そう叫んだ後、白ひげはマルコ、と言った。


「分かってるよい」


ニヒルな笑みを浮かべ、マルコは青い炎を纏ってナマエの元へと飛び立った。




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