クルアが外から帰ってきたときからナマエは不機嫌だった。その理由は
「......白ひげさんたちが来るからか?」
カイルが尋ねるとナマエの手が止まり、肩がピクッと動いた。
「...だよな。だと思ったけど」
カイルはその様子を見てから、再び調理に取りかかった。少し遅れて背中側からも音が聞こえ始めた。
2人が現在作っているのは、宴会用の食事。それも、今夜がこの島最後の夜という白ひげ海賊団のための料理だった。
──────────
「ただいまー」
「おかえり、姉さん」
今から少し前の時間。外出していたクルアが店に帰ってきた。
「お姉ちゃん!お帰りなさいっ」
カウンターでカイルとトランプをしていたナマエがクルアに走り寄り、ぎゅっと抱きついた。そんな妹を見てクルアは微笑んだ。
「ただいま、ナマエ。ねぇ、2人共」
クルアはナマエの肩を掴んで少し引き剥がしながら、カイルとナマエを見た。
「今夜のお客さんの予約が入ったの。パーッとやりたいみたいだから、美味しいお料理お願いね」
まぁ、2人の料理はいつでも美味しいけど。クルアはそう言ってナマエの頭を撫でた。
「もちろんだよっ」
嬉しそうにしながらナマエが言った。それを見てカイルが俺が教えてやってんだろ、と笑った。
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