「お呼びだてしてすみません」

「いや、息子からの頼みだからな。断る理由もないさ」


モビーディック号からも酒場からも離れた海岸で向き合うのは、白ひげとクルア。


「で、話ってのはなんだ」


浜辺に腰を下ろす白ひげ。その前にクルアは立っていた。


「突然なことで、無理を言うのは分かっています。...白ひげさん。私の妹......ナマエを、あなたの船に乗せていっては頂けませんか」

「あの小娘か」


クルアの言葉にさほど驚きもせず、白ひげが続けた。


「あいつぁ...お前らの本当の妹じゃねぇな」

「!!」


この人は、全てが見えているのか。クルアは目を見開いて白ひげを見る。その様子を見て、白ひげは笑った。


「マルコからは何も聞いちゃいねぇさ。ただ、昨日見たときに違和感を感じてな」


髪色も、瞳の色も、身のこなしも。そう言う白ひげに、クルアは納得した。


「......白ひげさんの言うとおり、私たち姉弟とナマエに血縁関係はありません。でも...私たちは兄弟です」

「アァ...。俺たち家族だって同じだ。分かってる」


白ひげ海賊団はお互いを“オヤジ”、“息子”と呼ぶ。だが実際は誰1人として血はつながっていない。だからクルアの言わんとすることが白ひげには手に取るように分かった。


「あの小娘...ナマエ、と言ったか」


はい、とクルアが返した。


「ナマエは...誰の子だ」




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