あぁ、そういうことか。マルコは全てを悟った。
「もっと早く自分が帰ってきていれば...両親は殺されずに済んだ。決して口には出さないけれど、ナマエがそう思っているのは確かです。分かるんですよ」
姉ですからね、とクルアが言う。
「両親が殺されてから、ナマエはずっとあんな調子で...。せめて厨房でカイルを手伝えって説得して、働かせてるんです」
「そうか」
ナマエが本当に恨んでいるのは、自分自身で。それでもその恨みは大切な人を奪った海賊に向いてしまう。まだ幼い少女には辛すぎるとマルコは思った。
「クルア、」
「マルコさん、」
2人の声が重なった。一瞬口をつぐんだ2人だったが、クルアが言葉を続けた。
「すごく、無理を承知で言わせてもらいます」
「...なんだよい」
クルアは綺麗な青い目で、マルコを見る。──海みたいだ。マルコは思った。
「妹を...ナマエを、海へ連れ出してやってください」
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