「クルアさん!酒追加頼むー!」
「こっちも!」
「はーい!ちょっと待っててくださいねーっ!」
皆酒が回り始めて、宴は最高潮になってきた。クルーの中には歌う者や賭け事をして遊ぶ者もいた。クルーの人数が多い白ひげ海賊団。なかなか全員そろって酒場で飲むことがないので、誰もが楽しんでいた。
「オヤジ、あんまり飲み過ぎんなよい」
「大丈夫だ、これくらい。せっかくの息子たちとの宴席だ、俺にも楽しませろよマルコ」
グラララ、と声を上げて笑う白ひげ。マルコは白ヒゲの前で酒を飲んでおり、本人もなかなか酒が回っていた。割と酒に強い彼は冷静だが、隣にいるサッチは思い切り酔っており、クルー達に酒や食事を配って回るクルアを見て鼻の下を伸ばしていた。
「白ひげさんもどうぞ」
お酒ばっかりじゃ身体に悪いですから、とクルアが食事を持ってきた。
「ありがとなぁ」
白ひげがそう言うと、いえ、と微笑むクルア。
「クルア!酒も食事も、相変わらず美味いなぁ!」
サッチがクルアに話しかけた。
「そうですか?でもサッチさん、酔いすぎですよ」
そんなことねーよー、と言うサッチ。そのやりとりを白ヒゲとマルコは口の端を上げながら見守る。クルアー、と言いながらサッチが立ち上がり、彼女の肩に腕を回そうとした。そのとき、
(...なんだ?)
マルコの耳に届く何かが走ってくる音。確かめようと振り向いたその刹那だった。
「...触るなっ!!」
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