え、ちょっと待って。
これはどういうことなんだろう。
「しーっ!」
「しーっ......て、え!?」
俺は昨日この白ひげ海賊団に入ったクルー。故郷の島にやってきた彼らにずっと憧れていた俺は、入団を願い出た。そして、そこを今日出航し新たな航海を始めたこの船に新入りとして乗ることになって。
あてがわれた部屋は他のクルー3人と協同。そこに荷物を持ち込みふと自分のベッドを見ると、掛け布団が無造作に置かれていて。それを直そうとふわっと持ち上げた途端現れたのは。
(こ、子供......!?)
ばちっと目が合い、ハッとした顔の子供と、目を丸くした俺。思わずそのまま再び布団を落としてしまった。我に返った俺が慌ててまたそれをめくると、やはりそこには女の子。体を丸めて俺をそのまん丸な目でとらえていて。
「おにいちゃ、はーなーしーてー!」
「え、あ、」
はたと離すと、女の子は布団を頭まですっぽり被って。って、いやいやいや、待って待って。
「ね、ねえ...!」
「?」
状況がまっっっったく掴めない。何でこんな幼児が此処にいるのか。何で白ひげ海賊団の船に乗っているのか。
「な、名前は?」
「なまえ!」
にぱっと笑う幼女。
「何歳、かな?」
「みっつ!」
「みっつ......え、3歳!?」
「うん!ふふふ」
小さい指を3本俺に突きつける。
「えっと、その...ママやパパは?」
「ぱぱ!?」
ぱあっと目を輝かせて俺を見る。......なんだか、こっぱずかしい。
「うん、そう。パパ。どこにいる...」
どこにいるの?と聞こうとした途端ノックされるドア。
「悪いねい。入ってもいいか?」
「!!、マルコ隊長!ど、どうぞっ!!」
ゆっくり入ってきたのはこの船で一番隊を率いる不死鳥マルコさん。こんなに若くして白ひげの左腕となったこの人は俺の憧れだ。そして、初めての会話(?)に思わず声がうわずってしまう。
「やっぱりな。見つけたよい、なまえ」
「あっ!まる!」
「え、まる?え?」
マルコ隊長の視線の先には、俺が今まで質問攻めしていたちびっ子。今、名前呼んでたよ?そして、本人はハッと振り返ったと思ったらもぞもぞと布団に潜って。
「ほーら。もう隠れんなよい。コイツが困ってる」
「あー。またぁ。また、まるにみつかっちゃった」
ベッドに近づいてきたマルコ隊長はその小さな生き物を抱き上げ、その片腕に収めた。ぽかーんとしている俺。
「どこにいたって、俺はなまえを見つけられんだよい」
大きな手で頭を撫でられると、女の子はふにゃりと笑って隊長の首に抱きついた。
「悪かったねい、お邪魔して」
「え、あ、いや、その」
そのまま部屋を出ようとドアに向かっていたマルコ隊長。これは、聞くしかない......!!!!
「あ、あのっ!」
「ん?」
「その子は...」
「ん?あァ、なまえだ。俺たちの妹だよい」
「い、妹......!?」
マルコ隊長はふっと笑みを浮かべ、呆然とする俺を見ていた。
それは僕らの天使だった
((マルコ隊長の子供かと思ったあぁぁあ))
(ふ、俺の子供じゃないよい)
(え!?あ、)
(顔に書いてあらァ)
((えぇぇええ!まじすかぁ!!))
(おにいちゃん、こんどいっしょにかくれんぼしようね!)
(かくれんぼ!?は、はいっっ)
(ばいばーい!)
((思わず敬語になってしまった...!))
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