カランコロン
ドアが開閉すると鳴るベルの音。古いような、あたたかいような、その響き。
カランコロン
カランコロン
カランコロン
「我が君、気に入ってくださいましたか」
「ああ、これいいな」
カランコロン
カランコロン
カランコロン
我が君も気に入ってくださったようで、先程から何度も出たり入ったりを繰り返していらっしゃる。ああ、よかった。
ここはダイアゴン横丁の片隅、ノクターンへの入り口近く。二階建ての小さな店だ。ピンキーズに変貌したデスイーターたちの多くは、ある者は泣きながら、ある者は震えながら、ある者はなぜかすっきりとした笑顔で去っていった。
わたくしは、我が君の元に残っていた。初めは狼狽したものの、闇の帝王だろうと、パンツ屋さんだろうと、やはり、わたくしの主人はこのお方しかいらっしゃらないのだ。そうして残った数少ない者の中の一人、スネイプさんがこの空き店舗を見つけ、ルシウス様とベラ姉さまが裏ルートで買い取り、わたくしが内装を担当した。
「我が君、中も御覧になってください」
「ああ、見る」
こんなにも穏やかな笑顔は、ダークロードのものではない。しかしわたくしは今の主人の笑顔をひどく好んでいる。