夢を見た。嫌な夢だ。我が君に、腕の紋章をいただいた時の、熱く焼けるような痛みが、頭を締め付けて、蛇に食べられる、こわいゆめ。
「おい、」
「…わがきみ」
「うなされていた」
「あ、夢を」
「大丈夫か?」
「ええ」
ああ、我が君に起こしていただくなんて、とんでもない失態だ。朝御飯も作っていない。
「申し訳ありません。いま、作ります」
「いや、いい。おれさまが作った」
「え?」
「いや、だから、おれさまが作っておいた」
「ああ、あ、…ありがとうございます」
キッチンから焦げたようなにおいがするのはそのせいか。わたくしは夢のことを、すっかり忘れてしまった。