カランコロン
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ほとんど絶えることのないベルの音。初日と言うこともあり店は大繁盛であった。わたくしが驚いたのは、男性だけでなく、女性のお客様も数多く来店したことだ。彼女たちは自分の恋人や夫のパンツを買いにきたらしい。下着のブランドが魔法界にはないことと、日本語だという不思議な響きの店名が人を呼び集めたようだ。

「美しいレディ、本日は何をお求めで?」
「あらお上手ね。夫の下着を買いに来たのよ」
「ああ、マダム、すでに結婚されているとは!」
「ここに来る女性はみんな恋人や夫がいるひとばかりじゃないのかしら?あなたの誘惑は誰にも通じないわね」
「なんと悲しいことを言うのです、美しいマダム。あなたの笑顔は私の幸せなのです。その笑顔が他の男に向けられていたとしても」
「ふふ、そんな簡単に乗せられないわよ」
「私の傷心を癒してくださるのはもはや女神だけだ」
「まあぁ…、これ買っちゃおうかしら…」

ルシウス様の言葉と手の甲への紳士なキスで、きれいな女性はパンツをいくつか買っていった。多少やりすぎな気がしないわけでもないが、彼は接客に向いている。

「チッ、ナルシッサに報告しなきゃだね」
「わけがわからん、なんだあいつは」
「……失望した」

そんな様子を見て、上から順にベラ姉さま、我が君、スネイプさんのセリフである。今日の閉店後のルシウス様の運命を思い、わたくしの口はひきつったように弧を描いた。

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