「え…ここどこ?」
「あー、俺の家です」
「シリウスくんの、」
「レイ?」
「いえ……、…、あ……、ぎもぢわるい……」
「レイ、レイーーー!!」




突撃お宅ほうもん





シリウスのお母さんに強制的につれて帰された僕らは、屋敷僕のクリーチャーが出してくれたお茶とケーキを楽しみながら、シリウスとヴァルブルガ様が消えたり現れたりするのを眺めていた。大丈夫かな、ヴァルブルガ様奇声発してたけど。

「穢れた血だ、穢れた血がお屋敷を汚す…」
「こらクリーチャー。それって私のことかしら?ちょっとこっちにいらっしゃい。あなたと私、話し合いが必要のようだわ」
「いっ嫌です!!ぼっちゃま!ぼっちゃまー!」

ああ、なんていい香りの紅茶だ。ブラック家のものだし、きっと僕には手も出せないくらいの高価なやつなんだろうな。

「エバンズさんあの、クリーチャーをいじめないでください…」
「なあに?文句あんのレギュラス?」
「くっクリーチャーを、クリーチャーを殺るくらいなら僕を…!!」
「お、おぼっちゃま!」

隣のジェームズがハアハアしててうるさかったから、どうせならこいつも一緒にやっちゃってとリリーにつきだす。「やっちゃって…?!ななななんてハレンチなんだリーマス!ありがとう!」「あらそうなの?じゃあ遠慮なく」ボコッ

…と、ジェームズが床に沈んだところでヴァルブルガ様とシリウスとレイがさんにん一緒に現れた。あーあ連れてきちゃったんだ。姿現しをするときに起こる気持ち悪い感覚のせいだろう、レイは気を失ってしまって、シリウスが叫ぶ。レギュラスとクリーチャーも叫ぶ。リリーの笑い声がする。ピーターどこにいるの?(あの、ぼ、ぼくずっとリーマスのとなりに…)しまったな。こんな地獄絵図みたいな空間に取り残されるのはシリウスの役割だったのに。

「シリウス…!あなたなんてことを…!」
「どうしても帰んなきゃいけねーならレイもつれて、…て、すげーかお」
「いまからでも遅くないわ!すぐにお家に帰してあげて!」
「気絶してんのにできるわけねえだろ」
「じゃあ隠して!レイちゃんにとってこの家は、いいえあの人は…!」
「ひと?誰だよ」

ヴァルブルガ様のぶるぶる震える背中を見ながら、僕は残り一口になってしまった紅茶を胃に流し込んだ。

「おち、おおちついて聞くのよ?」
「いやおまえこそおちつけ」
「おまえじゃなくてお母様ね。いい?レイちゃ、ん、は、」
「わっ、なっ、んだっ、?!」

ドドドドドと、屋敷を揺らすほどの轟音がやってくる。近づいてくるのだ。いま僕たちのいる部屋に。

「来てしまった…。もう終わりだわ……」
「な、ななななななななんだよなになんなの」

そして、みんなが部屋唯一の扉に注目した瞬間。扉はもちろん壁まで、粉々に吹き飛んだ。幸い巻き込まれたのはジェームズだけだった。もうもうと立ち込める埃にうつるシルエット。その中からあらわれたのは、―――





「レイちゃんの匂いがするうううううう!!!」

…え、この無駄にいけめんなおじさんだれ。

「「と、父さん…?」」





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