なんつーか、これがヤマトナデシコ?

ユカタっていうらしい、日本の服に詳しいわけでもないから、俺はレイの着ているそれのうつくしさを上手く表現できないけれど、白地に大きく花が咲いているのは、よく似合っていて、頬を染めるレイの、後ろで結われた髪、後れ毛が、色っぽくて、可愛らしい。あー…、反則、だろ。



どきどきどきどき



少し歩きにくい。レイを先頭にして俺たちはお祭り会場を歩いていた。俺と同様、なれない服と靴にぎこちなく足を進めているだろう、仲間を心配して後ろを振り向くと、あれ?…いや。いやいや目の錯覚か。

「シリウスくん?どうかし、…あれ?目のさっかくかな?」
「いや…、俺にも見える」

おかしいのである。みんな、何かしら食べ物を手にもち、お面もして、ぬいぐるみとか、おもちゃとか、ゲームの景品を抱えているのである。

「は?お前らなにしてんの?ていうかいつの間に?え?え?」

もしかしてお祭り満喫してないの俺だけじゃね?

「「歩いてたらもらった(のよ)(んだよ)」」

うそつけばかやろう!!







ドーンと地を揺らすように響く音。夜空に散る花火はうつくしく豪快で、俺たちを感動させた。レイが見つけたらしい穴場だというここには俺たちしかいない。

「ウッワアアきれー!」
「それはよかった。花火があがったらね、たーまやー、とか、かーぎやー、とか。叫ぶこともあるんだよ」
「へええ!タマヤカギヤって、どういう意味?」
「え…っ、わ、わかんないや!」

ジェームズが騒いでいるけれど、俺は、光が一瞬あたりを照らす度にはっきりと確認できるレイに、すっかり見惚れてしまう。花火はきれいだ。レイのがもっときれい。よって、空を見上げるのをやめ、顔の向きは横。

「シリウス、もぐもぐ、見すぎ」
「別にいいだろ。かわいいじゃん」
「確かに、むぐ、かわいい、もぎゅ、けどさあ…。ごくん。なんか目が怖いよギンギンで」
「うっせ黙れ!つーか食べながらしゃべんな!」

チョコバナナを口いっぱいに頬張るリーマスはやれやれこれだからプレイボーイは…なんて言う。プレイボーイじゃねえ!ただ女が寄ってきてただけだ!まじでなんもしてねーぞ俺は!

「シリウスのがうるさい」
「…うっせ」
「あのさあ」
「うん?」
「レイちゃんのこと、好きなの?」
「うん好き」
「えーと、そうじゃなくて、」
「なんだよ」
「好きって、なんていうか、…わかってる?」
「はあ?当たり前だろ!リーマスには渡さねえからな」
「あ、なんだわかってたんだ。ならいいけど」



レイに抱く気持ちがただ友だちに向けるものとは違うなんて、わかってる。

…まあ、さっき、気付いたんだけど。(浴衣効果すさまじい)



110730 ニコ

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