いつの間にかステージ上にいて、たくさんの人が手を叩いたり口笛をふいたり、つまり私は歓声に包まれていた。何かしら、これ。ふにょん。足元に違和感。見てみれば、普段より一層髪の毛をぐちゃぐちゃに乱したポッターが私のふくらはぎあたりにすがり付いている。
「っいやああああああ!!」
「ゴヘェッ」
リリーの生足とか…、ひゃあああ!
いつもポッターを叩いたり殴ったり蹴ったりしているけど、さすがに、今日は、やりすぎたと思うのよ?ステージから降りて日陰。あざだらけのポッターはそれでも笑っている。
「あ、あの、ごめんなさい」
「ひえええリリーどうして謝るの!」
「だって、あざだらけよ?」
「きみのあい!これ!」
違うわそんなの。私ポッターのこと、気持ち悪いとは思っても好きだって感じたことないもの!
「ポッター、ポジティブなのはいいけれど、あの、その、私は、」
「リリー、」
あなたのこと、好きになれそうにないわ。
突然手を握られて、それが変態的なのじゃなくって紳士的な動作だったから、私ははっとして、言葉が出なくなってしまった。
「リリー。僕は君が好きなんだ」
「し、しってる」
「はは、だろうね。」
改まっていわれたら恥ずかしいのはしょうがないことじゃない?どきどきしちゃうのだって、いきなり、ポッターが、真剣になるからよ。
「皆のところに戻ろう」
「…て、」
「んん?なんだい?」
「……いいわよ。今日だけ、ゆるしてあげる」
手、つないだまま。
私の頭、暑さに当てられてイカれちゃったんだと思う。
110725 ニコ