「レイ、ちがうんだ、本当に」
「?」
「僕にはリリーという大切な大切な未来のお嫁さんがいてね」
「??」
「ジェームズと、おれ、ただの友だち」
「ともだち?」
「そう、ともだち!」
「うん、わたしとシリウス、わたしとジェームズ、ともだち」
「だあああ…!ちがう!」
「???」
ミスティフィケーション
こういうときに限って言葉って通じない。結局レイの誤解を解くことはできないまま、ごちそうを食べて、俺とジェームズは同じ部屋に案内されて、就寝することになった。もちろん俺がベッドで、ジェームズがフトン(レイが日本人はここで寝るんだって教えてくれた)だ。
「レイのみそしるうまかっただろ」
「すっごいおいしかった」
「俺も作れるんだ」
「ええ、本当に?じゃあ帰ったあと作ってよ」
「ああ、リーマスとピーターもいっしょに食べよう」
俺は帰りたいのか帰りたくないのかわからなくなってきた。帰るのなら、レイも連れていきたいのが正直なきもちだ。
「シリウスってレイが好きなの?」
「だからそんなんじゃないって」
「ふーん…」
「なんか、ほら、いろいろ世話してもらったし、こう、家族、みたいな、ああ、友達?」
「ふーん、まあいいや」
「いいんだ」
「え?もっと問い詰めてほしいの?」
「いやそういうわけじゃあないけど」
「……明日、レイにお礼言ってから、姿現し試してみようか」
「……ああ」
夜は更けていく。
100822 ニコ