明日から夏休みで、開放感を汗とともに弾けさせながら下校中!猛烈に自転車をこいでいたわたしが、家まであと10メートルぐらいの道の真ん中に落ちていたソレをひかなかったのは、奇跡だと思う。


落とし物は交番へ


「おーう、あーゆーおーけい?まいねーむいずレイ。ないすとぅみーちゅー!」

道の真ん中に落ちていたのはきれいな外国の男の子だった!よくわかんないけどこのままじゃ車にばしばしひかれそうだったのでとりあえず家までひきずってきて、こんなに暑いのに汗ひとつかいていない彼を熱中症とみなし、クーラーのよくきいたリビングのソファに寝かせた。その彼が目を覚まし、今に至る。瞳の色はグレーだった。

「◇◆!?□■□!▲△?」

本場の英語なんて聞き取れないので彼の話してることはひとつも理解できない。ちなみに英語の成績は努力でカバーし10段階中5。普通!このひとがどうしてあんなとこに倒れてたんだろうとかよくわかんないんだけどとりあえず熱中症は熱中症な病人なので落ち着いて寝ていてほしい。そんな興奮したら血圧あがりますよおにーさん。

「えーっと、あいきゃんとすぴーくイングリッシュ!ぷりーずすぴーくスロー、プリーズゆーずイージーワード」

そう言えば矢継ぎ早にわたしに(たぶん)質問をしていた彼はぴたりと動きをとめた。

「……Where is hear?」
「ジャパン!マイホーム!」
「Why?」
「わ、わい?えっと、…」

単語単語を区切って、簡単な言葉で話し始めてくれたのはいいんだけどわたしはすぐに答えられなくなってしまった。わい、って、なぜ?だよね。わっわたしにもわかんないよう。

「Thank you. bye.」

あははーとか笑いながら適当に誤魔化そうとしたら男の子は立ち上がった。多分家から出ていこうとしたんだろうけどすぐりふらりと倒れてソファーに逆戻り。やっぱり熱中症?外人さんにはジャパンの湿気が大変ってテレビで言ってるけど本当なのかな。

視界がぐるぐるしてるらしい彼にあわてて麦茶を持ってきて渡すと、勢いよく5杯も飲んだ。

「プリーズ、ステイ、ヒア」

夏休み、1ヶ月とちょっとの間。この広い我が家でひとりで過ごすのはさみしすぎるので、正直道連れはだれでもよかった。拾った男の子からはなんとなく異質な空気を感じたから、いっしょにいてくれそうだった。



100302 ニコ

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