「I'm a wizard.」
「え?」
「I'm a wizard !」
「うぃざーど?」
「Yes , wizard !!」
「…そーりー、あいどんのう、ウィザード……」
「……」
「……」


はっくしゅん


あのあと田中さんちの前でシリウスくんを見つけた。パニックになりすぎて泣いていたわたしはシリウスくんに頭をなでられることでだいぶ落ち着き、そしてふたり汗ばんだ手をつないで帰ってきた。何かを決意したような目をしているシリウスくんはお風呂に入ったあと一息ついてから、あいむあウィザードと言ったわけだけれど、

ウィザードってなに?(ああわたしの語彙力の無さ!)

「あっそうだ!辞書!」
「?」
「えーっと、ディクショナリー!」

とても落胆したようなシリウスくんはわたしの言葉に目を輝かせた。

「ウィザード…えっと、だぶる、あい、……」
「z、a、r、d」
「……ディス?」
「Yes.」
「リアリイ?」
「Yes.」

なななななななんてこった!シリウスくんは魔法使いだった!



「Wingerdium Leviosa!」
「きゃあああっ!」
「Levicorpus!」
「うひゃーっ」
「Lumos!」
「まぶし…!」
「Reparo.」
「ああありがとうサンキューベリマッチ!」

すごいすごいすごいすごい!シリウスくんが杖を振るだけで物が浮いてわたしも浮いて光って壊れた網戸が直った!本当の本当に魔法使いだ!

「Orchideous.」

興奮して眠れなくなったわたしに、シリウスくんは香りのいいお花を出してくれた。

「Good night,レイ」
「はいーぐっないしりうす」



100503 ニコ

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