やっべえつい!つい変身しちまった!


バイリンガル


フリスビーをくわえたまま、ぎらつく太陽の下俺は静止した。まずい。これは本当にまずい。レイにバレた。魔法使いうんぬんはわからないとしても、俺が犬になる瞬間をばっちり見ていたはずだ。どうしよう追い出される…!少しの間のあとレイが俺にむかって歩いてきた。いつもより数段低い視線、逆光でよく見えないレイの表情にじわりと汗がにじむのがわかった。


「君、かわいいねーえ。シリウスくんがどこに行ったか、わかる?」

ぼふん。予想に反して頭をぐしゃぐしゃ撫でられた。

「どうしたのかなあ。トイレに行ったのかな?」

な、


なんて鈍いんだ…!!

安堵のあまり口からフリスビーが落ち、それをレイが拾った。ああこのへにゃへにゃした笑顔。最初といっしょだ。

「わんっ(レイ最高!)」
「うん?うんうん」

よしよしいーこ。なんて言いながら俺をなでつづけるレイ。そこで俺はレイの言葉がわかることに気づいた。何だこれ。犬だからわかるの?バイリンガル?ええ、じゃあ俺犬でいたほうがいいのか?

「ふふ、なんか君、シリウスくんに似てるね」

女ってするどい。



100326 ニコ

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