レイから隠れて人間に戻るタイミングをはかろうとしてみたものの、犬の本能、なのかな。フリスビーの誘惑には勝てなかった。


浸透していく


結局夕日がこんにちはするまでレイに遊んでもらった俺、犬。帰ろうとするレイを見て焦った。ちょ、ちょっとは探す素振りとか、見せてくれたっていいのに…!もしかして俺、見捨てられた?でも、まあうん。そうだよな。俺ただの居候だったし、素性知れてないし、レイが拾ってくれたことだけでよかったんだ。

帰ろう。

まだ夏休みだから帰るのは俺の家だけど、めちゃくちゃ嫌だけど、帰ろう。姿現しは今まで試してみたことはなかった。でも他の魔法が使えたんだから、やろうと思えばできるのかもしれない。

レイから逃げるように、犬のまま全力疾走して、だれもいないところで人間に戻る。そこで俺は大事なことに気がついた。

…杖、レイの家だ。


「し…うす!、しっ、りう、」

そうしたら微かに、レイの声が耳に入ってきた。

呼んでる。俺を!

「レイ!レイ!」

たまらず俺も叫んで走り出したら、角を曲がったところですぐレイとぶつかった。レイは泣いていた。



100410 ニコ

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -