あれから何回かフリスビーを投げて、黒いわんこと仲良しになった。だけど一向にシリウスくんは現れない。
炭酸野菜ジュース
「ワンワン!」
「ちょ、ちょっと待ってわたし疲れたよー」
わふわふとはしゃぐわんこにフリスビーを投げるのを何度もせがまれて(多分そう、すごい勢いでしっぽまわしてすがりついてきたから)、わたしは疲れていた。このままじゃあ熱中症になりそうだ。そう、熱中症!シリウスくんが今どこにいるかはわからないけど彼の体調がすごく心配だ。
……
「…よし、帰ろう」
とりあえず、野良っぽい犬を連れて帰ることにした。決してシリウスくんのことがどうでもよくなったわけじゃない。ただ、本当に、どうしたらいいのか全くわからなかっただけ。もっと真面目に学校通ってればよかった。そうしたら何か対策が浮かんだかもしれないのに。教養って大事だ。もし彼がどこかで倒れていて、そこがだれにも見つからない道路とかで、しんじゃったりして、ああもう、どうしよう!
「くうーん…」
「んん、きみ、いっしょにきてくれないの?」
「ワンっ!」
わんこのさらさらの毛がしゅるりとわたしの手から逃げていく。走り出した黒い犬は黒い点になって、消えた。…なんだかスースーする。なんだろこれ、なんていったらいいのかな。
さみしい。
思えば家族が8人もいたから家には誰かしらいたし、友達もなかなか多いほうだったし、家族が旅行に行ったらシリウスくんがやってきたし(わたしが連れてきたんだけど)、ひとりになることなんてなかったんだ。
100410 ニコ